孫子の兵法における位置づけ
「令(れい)するに文をもってし、斉(ととの)うるに武をもってす」
こちらは孫子の兵法(第9)行軍篇で説明されているフレーズです。
孫子の兵法において、将軍が兵士を統制するための、あるべきやり方について説かれたもので、基本的には以下のポイントを説明したものと考えられます。
①兵士を統制するためのルールは事前に文章で明確に示すべきである
②その上で、ルールを守らない兵士に対しては、罰を与えることで、全体の規律が整えられる
③上記の順番は必ず①→②でなければならず、逆の②→①の流れではいけない
※「令するに文をもって」の解釈は、「文をもって」を「温情をもって」とする解釈もあるようです。個人的には、春秋時代ののち、始皇帝の秦が発展した要因の一つが、「法令」「法治国家」であったことからも上記のような解釈がしっくりくるのと、現代への当てはめとしても役に立つように感じています。
「令するに文をもって・・・」が守られていない例①
まずは、会社の社長に対する、従業員2人の以下の会話をご覧ください。
従業員A
「社長、今日も怒ってたよー」
従業員B
「けど、怒る理由がイマイチ わかんないよねー、、気まぐれなのかな」
・・・いかがでしょう。こんな場面、意外と「あるある」ですよね。
何が問題なのか?お分かりになりましたでしょうか。
はい、そうです。社長が怒ったとしても、その理由が説明されていなければ、従業員への教育効果はゼロで、むしろ、従業員が無駄に社長の顔色を伺うようになったり、萎縮するだけで、デメリットしかないやり方ですね。
そんな社長、会社、嫌ですよね。
「令するに文をもって・・・」が守られていない例②
続けて、もう1つダメな例を紹介します。反面教師としてぜひ参考にしてください。
従業員C
「いきなりAさん左遷されたみたいね」
従業員D
「ほんと、Aさん、理由が分からなくて、聞きにいったみたいだよ。。(結局よくわからなかったみたいだけど)」
・・・こんなケースも、結構「あるある」ではないでしょうか。
こちらの状況も、理由が誰もわからないような状況で、左遷という、実質的なペナルティが従業員に対して課されてしまっています。
そんなペナルティは、従業員の方向づけのために、全くプラスになりません。それこそ、無意味な人事であり、他のメンバーのモチベーションダウンにすら繋がってしまう、最悪の方法ですね。
「令するに文をもって・・・」が守られている例
次に、上記までとは逆に、「令するに文をもって・・・」が守られている例をご説明します。
従業員E
「あいつ、社長から怒られてたねー」
従業員F
「まあ、あれだけ事前にやれって言われて、やってないから当然だよね」
いかがでしょうか?
今までと違って、今回はどうやら、社長から事前にやるべきことを指示されていた上で、それがやっていなかったからという理由で、怒られたことが明確です。
事前に指示(この例ではルールというわけではなく、個別の指示ですが)がされていて、指示をされた本人もわかっているにもかかわらず、それをやっていなかったのであれば、叱られても理由が明確ですね。
むしろそれで叱られなかったら、今後、指示に従わなくても良いのではないかと勘違いする空気が生まれるかもしれませんね。
Youtubeで語ってみました
いかがだったでしょうか。今回の、孫子の兵法、令するに文をもってし、ととのうるに武をもってす、のフレーズについてもyoutube動画でも語ってみました。耳からも入ってくるので何かの作業をしながら聴いていただくのでも、がっちり動画として見ていただくのでも、どちらでもご活用いただければ幸いです。
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